本当に正しい紫外線対策
紫外線の害が強く叫ばれるようになり、女性だけでなく男性や子ども用日焼け止めも多く、紫外線対策は【あたりまえ】となっています。
しかし、本当に効果的な紫外線対策をできている人は少数です。
その原因の多くは日焼け止めを過信していることにあります。「SPF値が高い日焼止めを塗っていれば大丈夫」と思っていませんか?
肌老化の60~80%は紫外線によるものだと言われています。
紫外線対策を万全にしないまま、シミを改善しようとしても、天井の雨漏りを直さないで床や壁のシミを消そうとしているようなものです。日々のわずかな紫外線の影響が少しずつ肌に蓄積されていき、肌トラブルや老化へ繋がっていきます。
こちらでは、正しい紫外線対策を徹底解説。
目次
- ○ 紫外線の基礎知識
- ・UVA(紫外線A波)
- ・UV-B(B波)
- ・UVCとブルーライト
- ○ 紫外線の悪影響【急性】
- ・サンバーン
- ・サンタン(色素増強)
- ○ 紫外線の悪影響【慢性】
- ・シワ
- ・シミ(老人性色素斑)
- ・赤ら顔
- ・免疫抑制効果
- ○ UVケアの新常識
- ・①SPFが高いほど効果が高いわけではない
- ・②日焼け止めの効果を過信しない
- ・③保湿をしっかりする
- ・④目の日焼けからもシミができる
- ・⑸日焼け止めは塗る量が大切
- ○
- ○ まとめ
紫外線の基礎知識
日光の中で、波長の短いものが紫外線と呼ばれます。
光のエネルギー量の内約で見ると、日光の50%は可視光線で、45%が赤外線、残りの5%が紫外線です。
夏の紫外線量は冬の3~4倍にもなり、4~9月で1年の紫外線量の70~80%を占めています。
紫外線は、A波(UVA)、B波8(UVB)、C波(UVC)に分かれています。
UVAは雲やガラスを突き通す性質を持つため、くもりの日でも室内でも影響を受けます。
衣類も通過しますが、浴びている感覚があまりないので知らないうちに、じわじわと皮膚の老化を進めます。
UVBは、日焼している感覚があり、海辺などでは短時間で火ぶくれを起こす原因となります。
どちらも皮膚への影響を蓄積すると、シワやシミなどの皮膚老化の原因となります。
UVA(紫外線A波)
紫外線の中でも1番波長の長い光【(320~400nm)、皮膚の中間部である真皮まで浸透します。
全紫外線の90%以上を占めます。エネルギーは弱いですが、雲やガラスを透過する性質を持ちます。
UVAは真皮の組織を破壊し、皮膚のしなやかさや弾力を奪ってしまう上、A波が破壊した組織は元に戻らないと考えられています。
UV-B(B波)
UVAよりも短い波長(280~320nm)。
全紫外線エネルギーに占める割合は10%以下ですが、エネルギーが強く皮膚が赤く炎症を起こす日焼「サン・バーン(火ぶくれになるような日焼)」を引き起こします。
皮膚表面の細胞を破壊し、皮膚がんや白内障の原因になると考えられています。
UVCとブルーライト
UVC(波長190~280nm)は地上にはほとんど到達しません。
しかし、近年注目をされているのは紫外線に次ぐ強いエネルギーを持つ、青色の光【ブルーライト】(波長:380~500nm)です。
直進する性質を持っているため、日焼やシミの原因となる紫外線B波よりも肌の奥に入り込み、色素沈着を引き起こすことから「第3の紫外線」とも呼ばれています。
また、コラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を保つのに欠かせない肌組織を破壊するだけでなく、コラーゲンの量そのものを減少させてしまいます。
紫外線の悪影響【急性】
紫外線を受けてからすぐに発症する皮膚障害です
サンバーン
UVBによって日焼で赤くなることです。紫外線を受けた部分が赤く腫れて熱をもち、ひどい場合には水泡ができ、やけどと同じ状態になります。
紫外線を受けてから8~12時間でピークに達し、炎症は数日間続きます。
サンバーンを起こすほどの日焼は、DNAの損傷も伴うので大変危険です。
サンタン(色素増強)
日焼けで黒くなることです。UVAとUVBの両方によるもので、紫外線照射72時間後程からメラニンの生成が始まり、1カ月以上続くこともあります。
生成されたメラニン色素は、皮膚のターンオーバーと共に数カ月で排出されていきますが、排出されずに残るとシミになります。
繰り返しサンタンを起こすと、メラノサイトの数自体が増え、より肌は黒くなり、シミだけでなくほくろができることもあります。
紫外線の悪影響【慢性】
日焼けの影響は、蓄積されて皮膚に現れてきます。一般的に自覚するのは40代頃からになりますが、よく日焼をしていた人は20代でも肌老化が気になる人もいます。
紫外線による老化の事を【光老化】といいます。
シワ
紫外線は皮膚の中にコラーゲンを破壊する酵素を生みだし、シワの原因を作ります。
わずか2分間の日差しでも「シワのもと」は皮膚の中に発生しています。
シミよりシワの方がすぐにでき始めます。
シミ(老人性色素斑)
紫外線でできるシミを老人性色素斑もしくは日光黒子といいます。
頬骨の辺りを中心に、黒や茶色の丸い形のシミとして現れるます。初期はぼやっとしていますが、次第に濃くはっきりとしていきます。
紫外線が皮膚に当たると、表皮細胞からエンドセリンやステムセルファクターという情報伝達物質が分泌され、これがメラノサイトを活性化します。
メラノサイトの中でチロシナーゼという酵素が働いてシミを作っていきます。
赤ら顔
紫外線によって皮膚の毛細血管が増えて赤ら顔になることがあります。
毛細血管が増えると赤い細い線をたくさん描いたようになり、全体に赤黒くくすんで見えます。
免疫抑制効果
紫外線には免疫抑制効果があります。紫外線照射後10日間、ランゲルハンス細胞(皮膚の中の免疫担当細胞)の機能が低下します。
日焼けをすると、風邪を惹きやすくなったり、ヘルペスが出たりすることがあるのは、この免疫抑制作用によるものです。
UVケアの新常識
SPFは「日焼けで肌が赤くなる(サンバーン)までの時間を何倍に延ばすか」、PAは「即時型黒化までの時間をどのくらい延ばすか」ということを測定して決められています。
①SPFが高いほど効果が高いわけではない
実は、SPF防御率はSPF30もSPF50も大差ありません。違いは日焼けを遅くする(防ぐ)時間です。
SPF1で日焼を約20分遅らせます。8時間ぼうびょするのに
8時間(480分)÷約20分(SPF1)=24
つまり通勤時間だけ、短時間の外出だけという日常生活の使用の場合はSPF24あれば十分です。
また、SPF15以上の日焼止めは、SPF20もSPF50も紫外線の遮蔽(ブロック)効果にあまり差がないという説もあります。
SPF15の日焼止めは紫外線の94%を遮蔽し、SPF30の日焼止めは97を遮蔽します。遮蔽率でみると94%でも97%でも差がないと感じますが、通過してくる紫外線の量で見ると遮蔽率94%のものは6%、遮蔽率97%のものは3%の紫外線を通します。
日常生活ではそんなに差が無いように感じますが、屋外に長く居たり、海水浴等をする際にはSPF値が高いものに。
SPF値が高ければ高いほど肌負担は大きくなります。用途に合ったものを選ぶと良いでしょう。
②日焼け止めの効果を過信しない
日焼け止めでどれくらいシミやシワを防ぐことができるかは、わかっていません。
シワやシミは何年もかけてできるもので、個人差が大きく日焼止めがどの程度防いだか測定できないのです。
平均的に日本人は真夏の日差し下では、15~20分でサンバーンを起こすと言われています。
では、シミやシワは何分でできるのでしょうか。
日に当たって2分後にはコラーゲンを破壊する酵素の遺伝子が誘導されているという報告があります。つまり、肌老化は2分後~始まっています。
サンバーンを引き起こすよりも肌老化の方がずっと早く始まっているのです。
SPF20の日焼止めは、サンバーンは400分延ばすことができますが、肌老化が始まるまでの時間は延ばしていないのです。
シワやシミに関しては、SPF値に頼らず「極力浴びない」事がひつようとなります。
③保湿をしっかりする
日焼け止めですべての紫外線が防げるわけではありません。
多少なりとも、肌にダメージを受けることになりますが、肌に水分量が多ければ多いほどダメージを受けにくくなります。
例えば、生と干物の魚を思い浮かべてみてください。同時に焼いた場合、干物の方が早く焦げます。
その違いは、水分量です。
【水分が少ないほど早く焼ける=ダメージを受けやすい】ということなのです。
UVケアと共に、保湿をしっかりしていくことが大切です。
④目の日焼けからもシミができる
目から紫外線が入るとシミの原因になります。
目から紫外線が入ると「紫外線がはいってきた」ということが脳に伝えられ、全身に「メラニン色素をつくれ」という指令が出ます。
紫外線から身体を守るための防御システムなのですが、これはもちろんシミの原因となります。
また、紫外線は白内障の原因や、ドライアイにも関与するといわれています。
紫外線遮断率が高く、大きめのレンズのもの(上下左右から紫外線が入るため)を毎日かけると良いでしょう。
⑸日焼け止めは塗る量が大切
最後になりましたが、一番大切なのは「塗る量」です。
どれだけ良い日焼止めを塗っていても量が足りなければ効果はないに等しくなります。
日焼け止めに表示されているSPF値は、1㎠の皮膚に対して2mgの日焼止めを塗布したときの数値として表されています。
これは、顔全体で500円玉大になります。実際女性は平均的にその1/4程度しか塗っていないと言われています。
紫外線対策をしていたつもりなのに、30代半ばくらいになると多くの人がシミを発見するのはこのせいとも考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?基本的に、日焼けした肌を元に戻すことはできません。
夏に焼けた肌も、冬には白く戻ったように見えますが、本当に戻っているのではなく、肌の奥には紫外線の記憶が刻まれています。
若々しい肌を維持するためには、しっかりと知識を身に着けて日々対策を行っていくことがとても大切となります。