栄養素
食べることは生きること。人間が活動する上で必要なエネルギーや体を構成している筋肉、臓器、骨などの組織、それらも食品に含まれる栄養素によって作られています。
栄養を気にして食事を摂ることもある中、栄養素がどういった働きをしているのかぼんやりとしかわからない人も多いのではないでしょうか。今回は毎日欠かさず摂る栄養素についてご紹介します。
目次
- ○ 五大栄養素とは
- ・たんぱく質
- ・脂質
- ・炭水化物
- ・ビタミン
- ・ミネラル
- ○ 栄養素の役割
- ・身体を作る
- ・エネルギー(力や熱になる)
- ・身体の調子を整える
- ○ 第6の栄養素
- ・不溶性食物繊維
- ・水溶性食物繊維
- ○ まとめ
五大栄養素とは
体に必要な栄養素は約40種類あるといわれており、食品に含まれる栄養素の中でたんぱく質、脂質、炭水化物は人間の体を維持するために必要不可欠な栄養素とされていて、これを「三大栄養素」と言います。
これにビタミン、ミネラルを加えたものを「五大栄養素」と言います。
たんぱく質
筋肉、血、骨、つめや髪の毛などを作る材料となるもので、ホルモンや酵素、免疫細胞を作る役割も持ちます。
肉や魚、牛乳・乳製品、卵などに含まれる動物性たんぱく質と、大豆・大豆製品などに含まれる植物性たんぱく質の2種類があります。
脂質
1gあたり約9カロリーとたんぱく質や糖質の約2倍のエネルギーを作り出す、効率の良いエネルギー源です。体温の調節や、食べ物が食べられない時のエネルギー源になります。また正常なホルモンの働きを助ける(特に女性ホルモン)といった働きもあります。しかし摂取が多すぎると脂肪として蓄えられ、肥満の原因となります。
炭水化物
脳や体を動かすといった主にエネルギー源となる栄養素です。体内の消化酵素で消化できる「糖質」と消化されない「食物繊維」に分けられます。
ビタミン
3大栄養素のようにエネルギー源や体の構成成分にはなりませんが、タンパク質、脂質、糖質の分解や合成を助ける働きを持ち、健康維持、体調管理には欠かせない栄養素で新陳代謝を促す働きをしています。
ビタミンは体内ではほとんど合成できません。脂溶性と水溶性の2つに分けられます。脂溶性ビタミン(A,D,E,K)は油脂に溶けやすく、大量に摂取すると過剰症になる可能性があります。一方、水溶性ビタミン(B群,C)は水に溶けやすく、尿などと一緒に排泄されるため、必要な
量を毎日とる必要があります。過剰に摂っても蓄積されず排泄されるので摂りすぎの心配はいりません。
ミネラル
骨や歯を形成したり、神経の伝達に関わったり、細胞の働きをスムーズにするなど、臓器や組織を円滑に働かせます。
体の健康維持に欠かせない栄養素で、カルシウム、鉄、ナトリウムなど16種類の必須ミネラルがあります。ミネラルは体内で合成することができないため食事から摂ることが必須です。
3代栄養素の分解や合成を助け、基礎代謝、新陳代謝、エネルギー代謝を促し、身体の機能や組織を調整・強化し、心身のバランスを正常に保つ役割を担っています。
栄養素の役割
栄養素は生命活動を営むため人間の身体に必要な成分であり、それぞれに役割があります。私たちが意識していないところで栄養素は日々身体を作り、健康維持をしてくれています。
身体を作る
筋肉、内臓、皮膚、血液、髪、爪など身体を構成するものの大部分はたんぱく質からできています。車に例えるとボディやエンジンの材料になります。このボディがしっかりしてないと、車は速く走れないように、身体の組織を作る大切な栄養素です。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうちの9種類は体内で合成できないため必須アミノ酸と呼ばれ、食事から補う必要があります。
食品から摂るたんぱく質には植物性と動物性があります。動物性のほうが体内で活用されている一方で、脂肪も多く含まれているのに対し、植物性たんぱく質は低脂肪なものが多くどちらかに偏らないよう毎日欠かさず取り入れることが大切です。
エネルギー(力や熱になる)
・脂質
脂質はエネルギー源として使われたり、肌に潤いを与えたり、正常なホルモンの働きを助ける(特に女性ホルモン)といった働きがあります。脂質を構成している「脂肪酸」は肉や乳製品の脂など常温で固体の飽和脂肪酸と、植物や魚の油など常温で液体の不飽和脂肪酸に分けられます。
不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸があり、多価不飽和脂肪酸には体内で合成できないオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸があります。この二つは必須脂肪酸と呼ばれ、食事からの摂取が必要不可欠です。
美しい肌や髪のためにもある程度の脂質が必要です。しかし摂取が多すぎると脂肪として蓄えられ、肥満の原因となります。
・糖質
糖質は身体を動かす時に使われるエネルギー源です。また、脳の唯一の栄養素となります。
糖質が足りなくなると、脳に必要な栄養素が届かなくなり、足りないエネルギーを補うために体の筋肉から分解され、その後に脂肪が分解されてしまいます。逆に糖質を過剰に摂取してしまうと、エネルギーとして使われず、余った糖質は脂肪として体内に蓄えられます。
また、糖質をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要ですので、豚肉やレバーのようなビタミンB1が豊富に含まれている食品と組み合わせて食べることで代謝が高まります。
身体の調子を整える
3代栄養素がエネルギーに変わるとき、筋肉や骨、皮膚に変わるときに潤滑油としてその転換の手助けをするのがビタミンです。
またミネラルとビタミンが酵素と結びつき食物の消化・吸収、老廃物の排泄を助けます。
そういった体内で行われるすべての代謝は「意識的に行う代謝」と「無意識下の代謝」があり、ビタミンとミネラルはどちらにも深く関りがあります。
このうち細胞の新陳代謝やホルモンなどの形成にあたる「無意識下の代謝」こそが、健康のカギを握っています。
作物を作るときの土壌づくりのようにビタミンとミネラルの摂取が健康の基礎作りになります。
代謝は身体だけでなく脳(心)でも行われます。イライラするなど感情のコントロールができなくなるなどの精神状態の停滞はビタミンミネラル不足が原因かもしれません。
第6の栄養素
食物繊維は腸の働きを助け、便通を整え、さらに生活習慣病の予防にも役立つ第6の栄養素として重要視されています。
水に溶ける水溶性食物繊維と溶けにくい不溶性食物繊維に分けられ、主におなかの調子を整える整腸作用、血糖値上昇の抑制、コレステロールを下げる働きがあります。
不溶性食物繊維
水に溶けずに水分を吸収して膨らむ不溶性食物繊維は、便のカサを増やして腸の働きを刺激します。さらに、乳酸菌やビフィズス菌といった体に良い作用をもたらす善玉菌のエサとなり、菌を増やしておなかの調子を整えます。
水溶性食物繊維
ネバネバとした形状をもつ水溶性食物繊維は、胃腸内をゆっくり移動していくため、糖質の吸収を穏やかにして食後の血糖値の急激な上昇をおさえます。
また、コレステロールを吸着し体外に排泄することで血中のコレステロール値も低下させます。
まとめ
毎日食事から摂る身近な栄養素。今回は知っているようで知らない栄養素の役割についてご紹介しました。
いつもの食事にバランスよく取り入れ、健康維持に役立てていただけたら幸いです。
今回は栄養素の基礎知識についてご紹介しました。次回は皆さんが気になる痩せる食事の仕方についてご紹介したいと思います。